コースロープの役割
より速く泳ぐためには、選手自身の泳力だけでなく、選手にとって泳ぎやすいプールが必要です。コースロープはプールの波を弱める働きをしますので、波消し効果の高いコースロープを使えば、選手は波が少ないプールを泳ぐことができるのです。
コースロープと競技記録
選手15名の協力のもと、1ヶ月間測定をした結果、コースロープの波消し効果の違いにより、50m あたり記録が約0.1秒程度変わる可能性があることがわかりました。(Sato,Y.,Fujishima,M.,:コースロープに波消性能と競技記録に与える影響,Japanese J.Sciences in Swimming and Water Exercise,No.1998)
波消し効果の測定・結果
コースロープの波消し効果を測るためには、人工的に波を作ることのできるプールで実験を行います。(造波水槽 20m x 1.8m x 1m)
プールでは、コースロープをはさんで両側3箇所で波の高さを測り、コースロープに入ってくる波(入射波)、跳ね返る波(反射波)および通過する波(透過波)のエネルギーを計算します。
|
 |
入射波のエネルギーは、反射波と透過波およびコースロープが吸収するエネルギーに分けられます。そのため、コースロープが吸収するエネルギーは、入射波のエネルギーから反射波と透過波のエネルギーを差し引くことで計算できます。コースロープが吸収するエネルギーが大きいほど理想的なコースロープといえます。
現在使われているコースロープの波消し効果の比較
直径110mm・150mmのコースロープを用いて吸収するエネルギーの比較をしました。実験では、海外製2種類(A社110Φ、C社110Φ)とWEEK製2種類(W社110Φ、W社150Φ)のコースロープを用いました。その結果、WEEK製150Φが吸収するエネルギーが最も大きいことがわかりました。(図1)。この実験では、フロートの形以外の、浮きの高さなどの条件は同じにしていますので、WEEK製150Φのフロートが、波のエネルギーを吸収するのに適した形をしていることを意味します。

図1.コースロープに波消し効果の比較